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鋳物のまち、キューポラの町・・・南部鉄器の「Past,Now,Future」
水沢区羽田(はだ)町は、東北新幹線「水沢江刺駅」近く、ここには約60もの鋳物工場が集まって工業地域を形成しています。この近隣には、後背地にあたる北上山地の砂鉄、木炭およびこの羽田町の北上川旧河川跡から出る質の良い砂と粘土などの鋳型材料が容易に手に入れられることから鋳物業が栄えたものです。
この羽田に鋳物が伝えられたのは、藤原清衡が豊田の館(江刺区岩谷堂餅田)に居住した頃、近江(滋賀県)から鋳物師を招き寄せて日用的に使う鍋や釜を鋳らせたことが始まりとされています。この平泉文化全盛の頃には藤原氏の保護を受け、中尊寺を始めとする寺院などの備品も鋳造していたとされています。
そもそも鋳物とは、金属を熱して溶かし「鋳型」に流し込んで器物をつくる製造法のことを指します。ですから、鋳物をつくる場合、鋳物の主原料となる鉄と、鋳型をつくる砂や粘土といった材料に加え、それらを加工する技術が必要となります。
それでは、なぜこの地域で鋳物が行われるようになったのでしょうか?それは、
(1)鋳物の原料となる鉄鉱石や砂鉄が近郊の江刺や東山、気仙地方から豊富に入手できたこと。
(2)鉄を溶かすための燃料である木炭が北上山地一帯から豊富に入手できたこと。
(3)鋳造の命とも言える鋳型の原料となる良質の川砂が北上川から大量に採取できたこと。
(4)北上川を軸とした舟運によって、製品を各地に搬出できたこと。まさに、水沢市は鋳物製造に最適の地だったということなのです。
さらに、各時代の権力者たちが、鋳物製造を奨励し特別に手厚く保護してきたことがあげられます。また、この地方で製造されてきた鋳物が、趣味や嗜好品ばかりでなく、鍋や釜などといった生活必需品が多かったことなども、水沢の鋳物の発達に大きく貢献した要因と言われています。
この羽田の鋳物業は、室町時代の初期(明徳年間:1390-93年)には、京都聖護院の長田正頼(鋳物師)が奥州下向に際して、羽田町の千葉家に身を寄せ、その技術を鋳物師より千葉家が受け継いでこの地方の鋳物の元祖となりました。この明徳年間には、奥州総奉行の葛西氏に、鋳物師千葉政頼として召し抱えられています。
水沢鋳物といえば、南部鉄器を代表とする工芸品としての鋳物が主流なのかと思いきや、実は自動車や工作機械、農業機械などの部品として用いられる産業機械鋳物をはじめとする工芸鋳物以外の鋳物が年間生産重量の約9割を占めています。
近年では、ドアのノブ、ガーデニング用品、ベンチなどといった建築金物や住宅関連の鋳物、マンホールの蓋、街路灯といった景観材としての鋳物の需要も伸びています。水沢市内を歩いていると、至る所に鋳物製のモニュメントや街路灯を見つけることができます。
一方の南部鉄瓶をはじめとする伝統工芸品はどうかというと、電気やガス、アルミ製品等の普及に伴い、生活用品としての鋳物需要は減少傾向にありました。その中で、昭和36年頃から鋳物製の「風鈴」の人気が急上昇し、全国にもその名が知られるようになり、水沢は「風鈴の街」として有名になりました。
さらに今日、健康意識の高まりとともに、鉄分の補給を目的とした鋳物製品の需要が徐々に高まりつつあります。また、販路を広く国外へも求めようと売り込みを始めるようになりました。日本の古きよき伝統とともに、工芸品としての芸術性の高さを世界の人々に知っていただこうという試みがはじまっています。
これまでの鋳物の概念を超えた新しい発想とアイディアで、製品を世に送り出そうという取り組みが行われています。その代表格となるのが、「鉄玉子」です。これは、アルミ製などの鍋ややかんを使って料理などをする際、卵形をした鋳物を中に入れることによって鉄分が補えるというもので、健康志向の追い風を受けてミリオンセラーのヒット商品となりました。この他、三角コーナーにたまった生ゴミの水分を除去し、ゴミの減量化とゴミ焼却場の負担軽減が図れる鋳物製重石や、玄関先でかがまずに靴が揃えられるステッキなど、一見するとシャレで作ったようにも見受けられる製品も続々誕生しています。
伝統の技と現代の遊び心とが融合し、新たな鋳物の世界が広がり、それが長い年月を経て伝統となっていくのです。これからの水沢鋳物が、どのようなユニークで楽しい製品を世に送りだしていくのか、とても楽しみです。

この南部鉄器のふるさと奥州市水沢区では、毎年7月第2土曜日と日曜日に「南部鉄器まつり」が開かれて、羽田で作られた鋳物製品が格安で販売されています。また、地元の伝統工芸士らによる鋳物創作展や風鈴みやげ品秀作展などが開かれ、全国から多くの観光客を集めています。
また、明治初期の南部鉄瓶の製作工程がいつでもみられるようにした工場再現展示や現代創作品などが展示された「キューポラの館」があります。では、最後に「キューポラの館」を覗いてみてください。







